技術士二次試験過去問研究|選択問題Ⅱ-1の頻出テーマとは?【建設部門建設環境分野】

技術士二次試験の勉強には、過去問研究をしっかりと行い頻出テーマについて重点的に勉強することが重要です。ここでは、H26からR4の9年間で出題された建設部門建設環境分野の選択問題Ⅱ-1の出題内容をまとめました。選択問題Ⅱ-1は建設環境分野の専門知識を問う設問で4題から1問を選択し解答します。

【過去問】選択問題Ⅱ-1のテーマ

ここでは、H26からR4に出題された問題から出題テーマを抽出しました。ここで抽出される頻出のテーマについては、今後も出題の可能性が高いので優先的に勉強していきましょう。

技術士2次試験の過去問は日本技術士会HP(こちら)に掲載されていますのでご覧ください。誰でも自由に過去問をダウンロードすることができます。

◆表 試験問題の出題テーマ

試験年度 選択Ⅱ-1の出題テーマ
R4
道路・鉄道の騒音対策
猛禽類の「前倒環境調査」
Eco-DRR
建設リサイクル 建設発生土、建設汚泥
R3 富栄養化
カーボンニュートラルに関する取り組み事項
SDGs 生物多様性保全に向けた取り組み
太陽光発電
R2 再エネ事業 環境アセス
特定建設資材廃棄物
土壌汚染の除去
環境基本計画
・生態系ネットワーク
・水循環
・外来生物対策
・海洋環境の保全
・自然資本の維持・充実・活用
R1 建設発生土
騒音源対策
多自然川づくり
アセス手続き
H30 低周波音の騒音対策
底層溶存酸素量の改善
再エネ 太陽光発電
外来種対策
H29 外来種対策
閉鎖性水域における環境保全
防災・減災
土壌汚染
H28 富栄養化
建設発生土
騒音対策
生物多様性に配慮した民間企業の取り組み
H27 生態系サービス
再エネ
景観重要公共施設制度
廃棄物最終処分場跡地
H26 生物多様性 4つの危機
ヒートアイランド
循環型社会
下層溶存酸素量

※日本技術士会HPより、H26~R4年度二次試験建設部門建設環境分野の過去問を分析し作成。日本技術士会HP過去問のページ

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上記出題テーマの表から頻出のテーマが見えてきますね。頻出のテーマを次に整理してみました。

選択問題Ⅱ-1の頻出テーマ【技術士二次試験 建設環境分野】

 

出題4回の頻出テーマ:「騒音対策」「再生可能エネルギー」「環境影響評価」

各頻出テーマについて、簡単に説明します。
騒音対策 頻出の背景とは?
騒音対策は生活環境で頻出のテーマになります。騒音対策は、①発生源対策、②伝搬路対策、③受音側対策の大きく3つからなります。解答を書く際は、①~③のどれにあたるか、意識しながら書くとよいでしょう。①~③はそのまま騒音対策におけるキーワードになります(出典:「技術士一直線2021」,『日経コンストラクション』2021年2月22日号,p.64,日経BP社)。また、道路事業における騒音対策、鉄道事業における騒音対策といったように、事業特性に応じて騒音の特性も違いますので①~③の基本を押えたら、道路、鉄道等事業別で整理していくと良いと思います。①~③の具体例については下記参考にしてみて下さい。

Q:道路の騒音における発生源対策とは?

A:低騒音車や電気自動車の普及促進、交通規制等による交通量の抑制、排水性舗装の整備 等

Q:道路の騒音における伝搬路対策とは?

A:遮音壁の設置や環境施設帯の設置 等

Q:道路の騒音における受音側対策とは?

A:沿道住宅の防音化 等

出典:国土技術政策総合研究所 研究資料 4.各種の道路交通騒音対策http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0806pdf/ks080608.pdf

再生可能エネルギー 頻出の背景とは?

世界的に取り組みが加速している気候変動問題への対応の中で、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル(※1)」の達成が政府より示されました。その達成に向けて、まずは2030年に向けた具体的な政策対応の一つとして、「2030年エネルギーミックス(※2)」が定められており、2030年に再生可能エネルギーの総生産電力における比率を現在の18%から倍以上の36~38%まで上げ、火力に代わる主力エネルギーにすることを目指しています。その推進策の一つとして2022年4月からFIP制度(※3)が導入されています。こういった背景から、今後も再生可能エネルギーは頻出のテーマといえますね。

※1 カーボンニュートラルとは、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする。排出を全体としてゼロとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス総排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味する」という定義の言葉です。
※2 2030年エネルギーミックスとは、経産省が公表している端的に言えば2030年に日本が目指したい電源構成のことを指します。
※3 FIP制度とは、再生可能エネルギー発電事業者が、市場価格で売電するときに、一定の割増金(プレミアム価格)を上乗せできる制度です。
環境影響評価手続き 頻出の背景とは?
環境影響評価は、選択問題ⅡでもⅢでも頻出のテーマですね。建設環境分野の肝といってもいいでしょう。法的に定められた手続きですから、環境影響評価手続きが不要な場面においても、この手続きがベースとなり様々な調査や手続きが実施されていますね。時代の流行によらず出題されるテーマといえるでしょう。今後も頻出のテーマであることは間違いありません。ここでは、近年の環境影響評価手続きに関する新たなトピックについて、説明したいと思います。
新たなトピック 風力発電 第一種事業の規模要件を「1万kW以上」から「5万kW以上」に見直しへ
風力発電事業におけるアセス対象の事業規模の引き上げが令和3年10月1日に閣議決定され、同31日より施行されています。なぜ引き上げになったか、端的に言えば、再生可能エネルギーの開発を進めたい政府にとって、想定していたほどに風力発電の開発が進んでいないためです。これについて簡単に解説します。
風力発電の現状①:アセス手続きに時間を要し、またコストがかかる。
風力発電のアセスってすごく大変なんですよね。その理由は以下の通りです。
 
 ・風力発電事業の環境影響に関する知見が乏しかったため、様々な調査が必要となる。
  (ちょっとオーバースペックぎみに調査をしなければならない)
 ・風況が良い条件の立地箇所では、国立公園に指定されていたり、アセス手続き以外に 
  必要な手続きがある。
国内の環境影響評価手続きの約9割が風力発電事業ということで、管轄の経産省にもかなり負担がかかっている状態でした。
風力発電の現状②:発電技術の進歩により、事業規模が増大。
2012年に風力発電が環境影響評価手続きの対象事業となりましたが、2012年当時と今では1基当たりの発電量が大幅に増加し、設置台数を減らしても十分な発電が可能になりました。そのため、事業規模は必然的に大きくなりますが、第1種対象事業規模は1万kW以上と変わらなかったため、アセス対象事業となり、開発に時間がかかるということでした。
令和3年10月施行の改正法では、5万KW以上となりましたが、なぜ5万kWにしたかという根拠が後付けではないか、つまり、改正ありきで検討が進められたのではないかともいわれています。これについては、詳しい記事が他サイトにもたくさんありますのでそちらをご覧ください。
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