建設コンサルタントの繁忙期の忙しさとは?【そもそも何で忙しいの?】

建設コンサルタント会社の繁忙期って何で忙しいんでしょうか?

これから就職を考えている人にとって、建設コンサルタントの繁忙期に対して様々な不安を抱いているのではないでしょうか。

繁忙期、どんな仕事をしているか知ってもらい、不安を解消してほしいです。そんな思いを込めてこの記事を作りました。正しく繁忙期の実態を知ってから就職、転職をしてくださいね。

繁忙期って何をして忙しいのか?

繁忙期が忙しいのは、役職等立場によって違いますが、以下のように大別できます。

  • 若手:報告書作成でいそがしい
  • 中堅:報告書作成、企画書作成、打合せでいそがしい
  • ベテラン:忙しくない(多分)人と忙しいひとの二極化

若手社員の忙しさとは? 答え・・・報告書作成に追われる

若手は、工期に向けて報告書作成を主に行います。様々な業務の工期が年度末の2~3月に設定されていることが多いため、たくさんの報告書作成をする必要があり、忙しくなります。また、頼りになる上司も次年度業務の受注対応等で忙しくなり、若手にかまってられなくなります。環境調査業務で言えば、春夏秋冬と現地調査をしてきた結果をとりまとめ、報告書にして納品することになります。

中堅社員の忙しさとは? 答え・・・報告書作成、提案書作成、打合せで忙しい 

中堅は、主に次年度業務の受注を目指して、企画書作成に追われます。官公庁が発注する公共事業の多くが2~3月に発注されることから、この時期にたくさんの企画書作成して提出したり、入札するための入札額の検討をしたり、大変忙しくなります。また、成果品として報告書を納品しますので、納品にあたっての打合せを発注者と行ったりします。これは出張がともない(現在はweb会議も増えています)、2~3月に集中しますので忙しくなります。

ベテラン社員の忙しさとは? 答え・・・みんなから頼られる人はめちゃくちゃ忙しい

答えになっていないかもしれませんが(笑)、周りの人から頼られる人は仕事がいっぱい回ってきますから、忙しいです。でもベテランだからスイスイこなせてしまいます。仕事の内容は中堅社員がやっている仕事全部です。

反対に、あまり周りから信頼されていないようだと、ヒマです。謎の出張したり、ネットサーフィンしたり。。。

繁忙期に行う、①報告書作成、②企画書作成、③打合せ について解説します。

報告書作成とは?

報告書作成とは、どんなことをやるのでしょうか。生き物調査業務の報告書を例に説明します。そもそも報告書とはその業務でどんなことをやったか、まとめた文書その文書をみれば、その業務内容がわかるものになります。

基本的に、MicroSoft Wordを使って作成します。ここでは環境調査業務の報告書の一例を紹介します。報告書の構成は一般的に以下の通りです。ページ数は制限なく、業務量によりますが、図や表を織り交ぜて1章あたり100ページ以上になることもしばしばです。

文書作成 構成の一例

1章 業務の概要 … 契約金額、契約期間、受発注者名、業務項目、工程等
2章 調査計画 … 調査対象、範囲、方法、時期等
3章 調査結果 … 確認種一覧リスト、絶滅危惧種・外来種確認情報、その他(周辺環境情報等)
4章 考察 … 経年変化、周辺環境変化との関係整理、各種解析
5章 今後の課題、申し送り事項
資料編 … 写真票、詳細な現地調査データ(生データ等)等

Wordについては、使っていくうちに慣れるでしょう。実はちょっと癖のあるソフトで、体裁などにこだわらず文書つくるだけなら問題ないですが、多少の体裁を整えながらやるには、ソフトの知識が必要です。実際に報告書を作成しながら、ググったり、先輩に聞いたりして覚えていきましょう。

データ整理・図面作成(グラフ・表・GIS)

報告書作成のうち、調査結果・考察の章では、現地調査で得られた結果をPCに入力したり、グラフや表を作ったり、確認位置図を作ったり、過去の結果と比較したりすることになります。基本的にエクセルやGISソフトを使って作業を行います。

エクセルでは、以下の図のようなグラフや表を作ります。それを報告書のワードファイルに貼り付けます。貼り付ける際は「形式を選択して貼り付け」とし、「Windows メタファイル」で貼り付けることが多いですね。この形式では、貼り付けた画像がベクターなので拡大縮小しても粗くなったりすることがないです。

GISソフトでの作業内容についてはこちらの記事を参考にご覧ください。

関連記事

建設コンサルタント、環境コンサルタントとして、現場だけではなく、資料をまとめたりデータ整理したり内勤も行います。環境コンサルではGISソフト使って、データをまとめたり解析したりします。GISソフトをつかいこなしていくことが環境コンサルにとっ[…]

2.企画書作成

繁忙期に上司が作成している企画書とは一体何でしょうか? 企画書と書きましたが、この業界では技術提案書と呼ばれることが多いです。技術提案書について、この段落では紹介します。

 技術提案書とは?
技術提案書とは、発注された業務を受注するにあたって、提出する企画書です。A4用紙1枚~3枚程度で、発注業務に対して、自社ではどのように取り組むか、どんなサービスが可能か、どんな課題を解決できるか、記載します。 実際の技術提案書のひな型をみてください。
 
技術提案書イメージ
 
 
 
民間企業の一般的なコンペなんかでは、何十枚もの資料を作って制限時間の中でスライドショーでプレゼンしますが、この業界ではこの数枚の技術提案書で勝負します。提出した技術提案書は、発注者しか見ることはなく他社がどんな企画書を書いてきたかわかりません。
 
そして、提出した技術提案書については、企業及び管理技術者等の評価点とともに点数がつけられ、入札金額の点数と合計され、落札企業が決定します。
 
 
 技術提案書の構成
技術提案書では、発注形態にもよりますが、おおむね記載する内容は以下の通りです、この内容をA4用紙1枚~3枚程度でまとめます。
 
 ①業務与条件
 ②業務の課題・問題点・対応策
 ③品質管理、安全管理、実施体制
 ④有益な代替案
 ⑤地域特性を踏まえた提案
 ⑥工程
 ⑦業務フロー
 ⑧特定テーマに対する提案
 
会社の受注を左右するものになりますので、作成にはかなりの知識・経験・技術力が求められます。私の会社では、実際に受注する技術者が作成する場合もあれば、外部から招へいされたOB(国土交通省や環境省、地方自治体の役人)が作成する場合もあります。
 
 
この建設コンサルタント業界では技術士を取って、技術提案書が書けるようになって、一人前といってもいいでしょう。
 
 
技術提案書作成は、上記で述べたように高度な知識・経験・技術力が求められますが、書けるようになるには今ある自分のすべてをぶつけ続けて書いていくのが一番の近道です。上司が書いた技術提案書をまねするのも良いと思います。リスペクトをもって、他人の技術提案書を分析すること、とても重要です。
 
 
 

3.打合せ、検査

 打合せ
基本の打合せの種類には、キックオフ(初回)、プログレス(中間、進捗)、納品打合せがあります。いずれも打合せにあたり、資料を作成し説明することが主です。最近はインターネットを使用した会議(zoom、teams、skype)も多く、必ずしも発注者に会いに行くことはありません。
 
作成する資料は打合せの性質によって、もちろん違いますが、おおむねこんな感じです。
キックオフ…業務計画書、照査計画書
プログレス…中間経過報告書
納品…最終報告書、概要書
 
 検査
検査とは、業務が完了し成果物を納品した後に発注者側の第3者が、成果品に不足がないか、求められるレベルを満足しているかチェックします。よく勘違いされますが、検査は受注者だけを対象に実施するのでなく、発注者も適切に受注者とともに成果品をつくってきたかチェックされます。
 
検査にて、合格を受ければ業務は無事に完了したとみなされます。その後、業務ごとに業務評定点というものがつけれられ、高得点が得られれば、発注者から表彰を受けたりします。
 
 

この記事のまとめ

 
いかがでしたでしょうか。繁忙期の中身について、簡単に解説してみました。私が若手の頃は、よく上司にも報告書作成手伝ってもらいたいなあと思っていましたが、いざ、自分がその立場になるとなかなか厳しいですね。でも、できるだけ自分も報告書作成に携わっていきたいと思います。
 
 
これから、建設コンサルタント業界に就職を考えている方の参考になればうれしいです。繁忙期って何で忙しいのか、それが分かれば、心構えもできますし、自分に合っているかよい判断材料になると思います。それに、働き方改革によりかなり繁忙期の残業や仕事のやり方も変わってきました。
 
よい成果品をつくりたいという気持ちをもちながら、自分のライフスタイルに合った働き方が繁忙期もできると思います。
 
 
 
最新情報をチェックしよう!
>日本一の環境系建設コンサル情報サイトを目指して

日本一の環境系建設コンサル情報サイトを目指して

環境系建設コンサルタント情報サイト、No.1を目指して日々サイトを更新中です。本当にこの業界に興味をもっている皆さんのためになるサイトにしたいと思っていますので、些細なことでも気が付いたのであればご報告いただけると幸いです。ご要望も、バグ報告も喜んで承っております!

この業界を一緒に盛り上げていきましょう!どうか皆様のお力をお貸しください。よろしくおねがいいたします。  by 建コン助教☆